研究課題
若手研究
眼疾患により比較的弱い光源であっても、強い羞明(病的羞明)が生じることがある。個人の身体的条件や環境条件によって、疼痛のように羞明はその閾値や強度が変容する。本研究では、1) 簡便な心理物理的手法による「明るさ感覚のダイナミックレンジ」計測の結果と発表、2) 羞明をきたしうる眼疾患患者の神経画像を用いた視覚神経基盤の変性に関する報告、3) 通常の光量では手術不能な病的羞明患者に対して低輝度デバイスにより手術可能となった報告を行った。
眼科学、心理物理学、脳科学
タブレットPCを用いた明るさ感覚のダイナミックレンジの簡易計測の開発により、羞明を日常的に感じやすい眼疾患患者において、弁別可能な輝度範囲が視覚正常者より狭い傾向にあることが判明した。本研究で得られた結果と更なる研究によって、現在自覚的な感覚に基づいて処方している遮光眼鏡の処方を、客観的なデータに基づいて最適な遮光眼鏡を処方できる可能性がある。また、明るさ感覚のダイナミックレンジの順応速度に対しても知見を得たことから、今後より順応速度に焦点を当てた研究を継続する契機となった。