上顎腫瘍切除術後の患者は鼻腔・副鼻腔に交通する実質欠損を生じ、咀嚼・嚥下・構音に障害を抱える。顎義歯を装着し機能回復を図るが、顎義歯の適合による封鎖効果は発音に必要な口腔内圧産生に影響を与える。従来、臨床において顎義歯の封鎖効果は、発音時や嚥下時の呼気や液体の鼻孔からの漏出にて評価されてきた。これに対し、口腔内圧を指標として顎義歯の封鎖性を評価した報告はこれまでに見られなかった。本研究は、大気圧センサを用いて発音時の口腔内圧を測定し、口腔内圧と音圧から顎義歯の適合による封鎖効果について推測する可能性を得たことは有意義であり。臨床での治療効果の客観的評価方法としての可能性を得ることができた。
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