本研究課題の自由生活性アメーバは、土壌、海水、室内塵などの生活環境下で分離され、世界中でその生息が確認されている。常に人の身近に存在してきた自由生活性アメーバは、長い間無害であると認識されてきた。しかし近年は、ヒトを含む哺乳動物に感染し髄膜脳炎、皮膚アメーバ症や角膜炎などを引き起こすことが確認され、臨床例が世界各国で報告されている。本研究により環境株、臨床株ともに簡便に培養することが可能となれば、アメーバの生態研究や新たな治療・検査法を構築するための研究が活発化すると思われる。世界的に停滞を示す致死性アメーバ感染症研究において、新規培養法の構築は学術的・社会的に意義のある研究と思われる。
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