研究課題/領域番号 |
18K17389
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
柴田 幹子 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (10802829)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 腎生検 / IgA腎症 / 慢性腎臓病 |
研究実績の概要 |
本研究は、慢性腎臓病が様々な原因疾患を包含していることを踏まえ、腎生検により確定診断を行った慢性腎臓病患者のデータベースを構築し、原因疾患を含めた詳細な検討を行うことを目的としている。これまでに、既存のIgA腎症患者データベースについて、約10年分の追跡データの入力を行い、既存のデータベースと結合し、最長約20年の長期予後が検討可能となった。しかし、2020年度からは新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、研究代表者が大阪市立総合医療センターへ出向くことが出来ず、定期ミーティングの開催及びデータ入力を行う事が出来なかったため、全腎生検症例を対象とするコホートを立ち上げる事が出来なかった。このため、結合したIgA腎症患者データベースについてさらに詳細な検討を進め、IgA腎症患者における将来の高血圧発症の危険因子についての検討を行い、年齢やbody mass index、1日尿蛋白量が有意に高血圧発症との関連を認めた。2021年度はこの解析結果について、第9回臨床高血圧フォーラムにおいて「腎生検で診断されたIgA腎症患者における高血圧発症に関与する因子についての検討」と題して学会発表を行い、Young Clinician Award優秀賞を受賞した。しかし、2020年度に引き続き2021年度も新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、研究代表者が大阪市立総合医療センターへ出向くことが出来ず、データ入力を行う事が出来なかった。このため、2022年度に延長して研究を継続し、データ入力を行うこととなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度には、2008年以降に腎生検を行ったIgA腎症患者についてベースラインデータ及びフォローアップデータを入力開始する予定であったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、2020年度に引き続き、大阪市立総合医療センターへ出向いての入力作業を断念せざるを得なかった。これにより入力作業に大幅な遅れが生じている。このため、すでに入力を行ったデータベースについて、IgA腎症患者における将来の高血圧発症の危険因子について臨床所見に主眼をおいた検討を行い、その結果について第9回臨床高血圧フォーラムにおいて学会発表を行った。また、現在腎生検組織の組織所見に主眼をおいた検討を行っている。 1997年4月以降に大阪市立総合医療センターで腎生検を行った全腎生検症例を対象とするコホートを立ち上げ、腎生検組織所見を含め疾患毎の特徴を踏まえたベースラインデータを網羅的に収集できるよう、項目を検討しているが、大阪市立総合医療センターへ出向いての入力作業については、2020年度に引き続き新型コロナウイルス感染症拡大が続いているため、実施時期を慎重に検討する。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、引き続き新柄コロナウイルス感染症拡大の影響を考慮すると、大阪市立総合医療センターへ出向いての入力作業再開時期については慎重にならざるを得ない。可能な範囲で大阪市立総合医療センターの研究協力者に積極的な協力を仰ぎ、2008年以降に腎生検を行ったIgA腎症患者におけるベースライン及びフォローアップデータの入力を行い、より大規模なIgA腎症患者のデータベースを構築する。また、1997年4月以降に大阪市立総合医療センターで腎生検を行った全腎生検症例を対象とするコホートを立ち上げ、腎生検組織所見を含め疾患毎の特徴を踏まえたベースラインデータを網羅的に収集できるよう、項目を検討しすすめていく。また、これまでに入力が終了しているIgA腎症患者における最長22年のコホートに関しては詳細な検討を継続していく。高血圧の発症や腎予後、尿所見改善について、臨床的所見、腎病理所見等に関し、多重ロジスティック回帰分析や重回帰分析などの多変量解析を行い検討していく。解析が終了した後、結果を検討し論文ならびに学会発表を通じて社会、国民に発信する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)2020年度に引き続き2021年度も新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、現地参加予定であった学会参加がオンライン開催となり、当初予定していた旅費が不要となったことに加え、大阪市立総合医療センターへ出向いての定期ミーティングも行えなかった。当初予定していたよりもデータ入力が遅れており、雑誌掲載料が不要となったため。 (使用計画)本研究では、データの入力と解析作業が中心となるため、2022年度はコンピュータ関連の備品や統計ソフト、文献管理・論文作成支援ソフト等を購入予定である。また、学会発表に関する旅費、雑誌掲載料等が必要である。
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