本研究は、腎生検を行った慢性腎臓病患者のデータベースを構築し、IgA腎症に代表される慢性糸球体腎炎を中心に、詳細な検討を行う事を目的としている。これまでに、既存のIgA腎症患者データベースについて追跡データの入力を行い、最長約20年の長期予後が検討可能となった。しかし、2020年 から続く新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、2022年度までは研究代表者が大阪市立総合医療センターへ出向く事が出来ず、定期ミーティングの開催やデータ入力を行う事が出来なかったため、IgA腎症以外の腎疾患についての登録時データ入力が進まなかった。このため、IgA腎症患者のデータベースを用いて解析を進めた。その結果、扁桃腺摘出術は最長約20年の長期フォローアップにおいて腎機能低下発症リスクを有意に低下させ、また有意に尿所見寛解を増加させることを見出した。 2023年度は、IgA腎症以外の腎疾患として、膜性腎症や微小変化型ネフローゼ症候群、巣状分節性糸球体硬化症などの腎疾患患者について、腎生検時のデータベースを入力するためのデータシートを作成する準備を進めた。大阪市立総合医療センターへ出向き 、IgA腎症患者データベース以降に腎生検を行った患者数や疾患の把握を行った。今後も継続してIgA腎症以外の腎疾患患者のデータベース入力を行い、データベースを作成していく。 IgA腎症患者データベースを用いて詳細な検討を進め、長期腎予後や尿所見寛解に ついての論文執筆へ向けて検討を進めた。また、2021年度に学会発表しYoung Clinician Awardを受賞した内容を踏まえ、IgA腎症患者の高血圧症発症のリスク因子についてもさらに検討をすすめ、論文執筆へ向けて詳細を検討した。
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