研究課題/領域番号 |
18K17621
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研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
菊地 悦子 武蔵野大学, 看護学部, 教授 (90307653)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高齢者看護 / 看護倫理 / 看護管理 / 急性期病院 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、急性期病院に入院もしくは外来通院している高齢患者の意思が尊重される看護実践を確立するための倫理研修プログラムの開発である。開発するプログラムの特徴は、高齢患者の治療や療養の場の意思決定のみでなく、入院や外来受診の際などの日常における、意思の尊重にも焦点をあて、管理的な視点でのアセスメント力、看護師個人、または、看護チーム、組織で改善する力の向上を目指した研修プログラムである。 本年度は、研修で使用する教材作成のために、入院経験のある高齢者のインタビュー調査で倫理的問題を抽出すること、また、看護師が認識する倫理的問題を抽出することであった。 実施:高齢者を対象としたインタビュー調査は、研究機関、医療施設等の倫理審査で承認が得られた。対象の候補者が通院する医療機関に研究目的・方法を説明し、対象者を募集方法の調整を行った。その後、インタビュー協力者を募り、入院経験のある高齢者へのインタビューを実施した。 結果:インタビュー調査は、計画した予定数に至らなかった。また、COVID-19(新型コロナウイルス)の感染拡大に考慮し、インタビュー調査を中断した。対象者は少数ではあったが、高齢患者は、難聴や視覚の機能低下により、看護師との間でのコミュニケーションエラーが生じ、それが誘因となって看護師を信頼できなくなった事象が複数あった。看護師が高齢患者の聴覚、視覚のアセスメントを入院時に行い、適切な方法でコミュニケーションをとることが倫理的看護実践と関連していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
対象者が患者であったため、研究機関、対象者が通院、入院する医療機関の倫理審査で承認を得るのに時間を要した。また、複数の医療機関でインタビュー調査への協力者を募ったが、予定数には達しなかった。予定数に達していない理由は、協力者を募る方法が高齢者にはわかりにくかったこと、通院、入院している医療機関で働く看護師への高齢者なりの配慮があったと考えられる。また、インタビュー調査を開始後、COVID-19(新型コロナウイルス)が流行したことで、対面での感染リスクを考え調査を中断をしている。今後も、高齢患者および医療機関で働く看護師への対面での調査は困難であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
研修プログラムには、高齢者自身の体験に基づいた倫理的課題の抽出が必要である。しかし、高齢者への対面でのインタビュー調査が難しい現状から、計画を変更し、文献や体験記、ブログ等、実際の入院、通院体験に基づいていると判断できる記述から、高齢患者が自分の意見が尊重された、尊重されなかったと感じた看護師の関わりを抽出し、研修プログラムの基礎資料を作成する。また、訪問看護師、回復期りハビリテーション病院の看護師のインタビュー調査で、高齢者自身が急性期病院で感じた倫理的問題を抽出したいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19(新型コロナウイルス)の感染拡大により、国内外への移動が制限されたため、首都圏外での調査が実施できなかった。次年度に繰り越した助成金は、文献検討と看護師へのインタビュー調査、研修プログラム案の作成、動画教材の作成に使用していく。
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