研究課題
若手研究
本研究は、恐怖が姿勢制御および内的な注意の動態に及ぼす影響と恐怖下での意図的な注意制御(内的焦点/外的焦点)が姿勢制御に及ぼす影響を明らかにするために実施された。立位保持中に画像呈示を行い情動を惹起させる実験課題を実施した。その結果、恐怖は重心動揺を減少させるが、姿勢制御中の自己への注意に変化を及ぼさないことが明らかとなった。恐怖が惹起されると重心動揺が抑制されるが、その最中に意図的に身体外へ注意を配分する(外的焦点)ことで、重心動揺の抑制を減弱させる可能性が示唆された。
姿勢制御
本研究は、恐怖感が姿勢制御に影響を及ぼすことを明らかにし、意図的な注意制御によって姿勢バランスをコントロールできる可能性を示した点で学術的な意義がある。しかし、今回は主に健常な若年者および高齢者を対象としたため、実際に転倒恐怖感を有する高齢者等に対する有効性の検証には至っていない。そのため、社会的意義を高めていく必要がある。