研究課題
若手研究
がん患者における心機能障害の発生はがん死に次ぐ死因であるが、がんそのものに由来する心筋障害の詳細は明らかにされていない。そこでin vitroおよびin vivo悪液質モデルを用い検討を行ったところ、悪液質に伴い心筋ミトコンドリア障害が惹起され、ミトコンドリア呼吸の抑制と酸化ストレスの発生が促進されていた。これに対し、中鎖脂肪酸を用いミトコンドリア酸化的リン酸化を促進すると、心筋障害は抑制された。これは、がん患者における心筋保護を可能にする食事介入につながると期待される重要な結果と見なされる。
がんリハビリテーション
本研究では、がん性心筋障害ががんそのものによりミトコンドリア呼吸の低下と酸化スレスの産生の増大を介して惹起されることが示された。これに対して、中鎖脂肪酸とグルコースの併用はがん性心筋障害を予防した。がん性心筋障害に対する予防や治療はほとんど知見がなかったが、本研究により食事介入によるがん性心筋障害の軽減が可能になると考えられる。より詳細な検討を今後加えることにより、早期の臨床応用を実現し、がん患者の社会的活動性や治療忍容性の改善をもたらし、予後改善につながることが期待される。