暑熱環境下における頚椎損傷者に対する深部体温の過度な上昇抑制に有効な対策はクーリングベストの着用と直達日射を防ぐ衣類の着用や日傘,タープを併用することが効果的であることが示唆された.また今度の研究として検討していく暑熱対策は,冷却水やアイススラリーなどの飲料よりも衣類の工夫による輻射熱を減弱させる方法が日常生活の中で活用しやすく,望ましいことが考えられた.脊髄損傷者の多くが体温調節障害を有し,夏季または冬季における屋外での活動が著しく制限を受ける.脊髄損傷者の種々の環境における体温の変動を明らかにし,適切な対策を講じることで屋外での活動時間を延長させ,QOLの向上に寄与する可能性が考えられる.
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