本研究では,アルギニン摂取が筋力回復を促進する要因の1つが,炎症性細胞の浸潤防止にあること,およびアルギニン摂取が,遅筋において,タンパク質合成に重要な役割を果たすmTORC1を活性化するという新たな知見が得られた.特に後者の知見は,単一の非必須アミノ酸の摂取により,筋タンパク質合成が増加する可能性があることを初めて示すものである.今後,アルギニンが筋タンパク質合成を増加させることや不活動に伴う遅筋の萎縮を軽減することが明らかになれば,ロイシン (mTORC1活性化により筋タンパク質合成を増加させる必須アミノ酸) とともに,アルギニンも筋萎縮に対抗する栄養成分の候補となる可能性がある.
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