研究課題
若手研究
本研究では温覚刺激と冷覚刺激を複数箇所に同時に提示した際に,温覚刺激を冷たい,冷覚刺激を温かいと知覚するような矛盾感覚が発生する現象に着目した.この現象は提示温度と真逆の温度に感じてしまうため温冷覚提示の実用に向けて大きな問題となるが,さらにこの現象を分析することで効率的な温冷覚提示も実現できる可能性がある.そこで,本現象がどのような条件で発生するかを分析することにした.その結果,前腕や手指において8割の被験者が錯覚を生起することを確認し,この現象の応用についても示唆した.
バーチャルリアリィ
本研究で対象とする温冷逆転現象は,非侵襲な温冷覚刺激の組み合わせによって生成するため,安全に活用することができる.さらに温冷逆転現象がどのような条件で発生したかを考察することで,温覚と冷覚の統合アルゴリズムに関する知見を得ることができる.また,複数箇所に温冷覚刺激を提示した場合,複数の錯覚現象が発生する.各錯覚現象は,各々の特長から提示刺激とは異なる温度に知覚される.この現象を逆手に取り,意図した温度に知覚させ,かつ効率的な提示が行える温冷覚刺激の組み合わせを提案できる.