研究課題/領域番号 |
18K18267
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研究機関 | 大月短期大学 |
研究代表者 |
佐原 彩子 大月短期大学, 経済科, 准教授(移行) (70708528)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 難民 / アメリカ / 記憶 |
研究実績の概要 |
本研究では、インドシナ難民が「難民体験」をどのように語り記憶してきたのかについて、カリフォルニア大学アーバイン校において収集されている元難民あるいは難民であった家族をもつ人々によるベトナム系を中心とした「ベトナム系アメリカ・オーラル・ヒストリー・プロジェクト」に収集されているインタビューなどを史料として、その内容について調査し、彼らの記憶を歴史的観点から考察してきた。2019年からは、とくにベトナム戦争後の再教育キャンプ経験が記憶の共同体を作り出し、そこでの「裏切り者」と見なされた人が強制送還されるべきだという動きが生まれたことを明らかにした。そして在米ベトナム人コミュニティでの強制送還がベトナム系アメリカ人コミュニティ形成を強化するものとして機能してきたことを分析した。この成果を、2020年に日本アメリカ学会英文ジャーナルに出版した。また、インドシナ難民に関連する共著の出版も行った。さらに、カリフォルニア大学マーセッド校マ・ヴァン准教授とキット・マイヤーズ准教授による論文を翻訳し出版することができた。この論文から難民の存在を軍事帝国主義から批判的に捉え直すことの必要性を改めて感じた。そのため、調査してきた難民の体験がアメリカ社会においてどのような影響をもってきたのか、また難民体験の内容についてさらに考察を進めた。また、現在、カリフォルニア大学アーバイン校グローバルスタディーズ准教授Long Buiと共著で論文を執筆しており一次査読は通過し、再度校正中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年中に史料調査を企画していたが、新型コロナウィルス感染症拡大の影響で変更をせざるをえなかったため。またその影響が長期化し、海外渡航、図書館利用が制限されるなど、考えていた以上に深刻化しているため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究と、近年のアジア系アメリカ研究と批判的難民研究の成果とを照らし合わせると、インドシナ難民が難民としてアメリカ社会に受け入れられたことによりアジア系アメリカ人の「モデルマイノリティ」像が補強されてきたことについて論文執筆したいと考えている。しかし、新型コロナ感染症拡大に伴い、調査や学会報告なども変更を迫られているため、適宜対応していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年に実施しようと考えていた調査が、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で難しくなり、2021年春にも調査ができなかったため。
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