行政法学は,行政法規の法解釈方法論を等閑視してきた。これに対し本研究は,裁判所の行政活動に対する立場性を時系列で解明するには(法律動学ないし法動態学),行政裁量の審査手法よりも法解釈の方法分析こそ重要であることを示すべく,日本の最高裁が採用してきた法解釈方法を,文理解釈,趣旨目的解釈(理論,仕組み,行政需要等)・立法過程史解釈,上位法適合解釈(憲法等)に4分類し,最高裁判決がどれをどう使ってきたかを逐一分析した。最高裁が法創造的な行政需要解釈に踏み切る条件は何か,最高裁は伝統法理へのこだわりがあまりなく,文理と仕組みによる透明性の高い解釈を通例とすることなど,日本の最高裁の特徴を描きだした。
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