本研究の目的は、特定の数理認識の発達についての研究の知見に基づき、幼小接続期の 幼児・児童を対象に調査や観察を実施し 、そこで得られた幼児期の数理認識のデータを 考察することで、幼小接続の道筋を明らかにし、それを根拠に幼小接続期の特定の数理 認識に関する評価スケールを開発に繋げる知見を得ることである。 研究の1つの目的は、数理認識の発達についての研究の知見に基づき、幼小接続期の幼 児・児童を対象に調査や観察を実施することであった。まず、基礎研究として、 先行研 究などを調査し着目すべき数理認識として、数に関するものと図形に関するものを 1 つず つ抽出した。数に関するものとしては、 概念的サビタイジングを中心とする「数をまと まりとして捉える」ことを抽出した。また、図形に関するものとしては、小学校以降(中 学校、高等学校をも含む)の学習の困難性に関連があると考えられる「ディスエンべディ ング(図形の中に図形を見い出す)」にも触れた。幼小接続期における幼児・児童の能力を 明確にするとともに、これらの能力の欠如に起因すると考えられる学習の困難性について も整理をおこなった。さらに、研究の視点として、現幼稚園教育要領に述べられている幼 児期の終わりまでに育って欲しい 10 の姿について振り返る資料の開発と活用についても 検討をした。 また、幼児期(5 歳児)についての概念的サビタイジングの調査を実施した。 そこで得ら れた幼児期の数理認識のデータを今後詳細に考察することで、幼小接続の道筋を明らかに し、それを根拠に幼小接続期の特定の数理認識に関する評価スケールの開発が可能とな り、今後の就学後の学習の困難性の解明や解消につながることが期待できる。その知見をもとに、評価スケールを検討を行った。
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