研究課題/領域番号 |
18K18687
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小池 進介 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (10633167)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | スマートフォン / 症状評価 / 治療予測 / 行動履歴 |
研究実績の概要 |
精神疾患は客観的な指標がないため、診断ミス、非効率な治療、治療者・患者関係の問題などが発生することが多い。近年、情報機器および情報工学の目覚ましい発展があり、一般人口の72%がスマートフォンを所持している。本研究の目的は、スマートフォンのGPS機能を用いて、ユーザーに負担をかけずに行動を記録し、精神疾患の診断・症状評価・治療予測・治療評価・再発予測を客観的に把握できるGPSマーカーの開発を行う。 研究協力者および協力医療機関と協議し、計測期間を最大24か月に設定し、本研究では12か月間の調査を行うこととした。そのため、精神疾患をもつ外来患者 100名と設定し、2018年11月からリクルートを開始した。 本研究は、東京大学全学倫理委員会の審査を受けており、承認された方法に則って実施する。すべての被験者からは文書同意を得る。行動記録は要配慮個人情報に位置付けられるため、行動記録そのものはレイフロンティア社および連携研究者が使用し、メタデータを研究代表者が用いるという方法をとって配慮する。国際疾病分類ICD-10のF2統合失調症、F3気分障害(うつ病、躁うつ病)、F4神経症性障害、F84広汎性発達障害、F90注意欠如多動障害を対象とし、2019年3月時点で25名の登録を終えた。背景情報(同居者、世帯年収等)、就労就学状況、過去の自殺関連行動などを主治医および本人から取得し、その後、1か月おきに本人より自覚的な抑うつ症状、就労就学状況などを取得している。2019年5月より順次、登録6, 12,24か月後に、より詳細な自覚症状、主治医評価指標を取得する予定である。 行動履歴の他、得られた行動記録は、従来のディープラーニング解析と、精神医学の一般的な症状・機能特徴に基づく行動特徴予測の2方向で行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は200名の精神疾患患者を対象に3か月間の行動履歴を調査する予定であったが、研究協力者および協力医療機関と協議し、同一被験者を長期追跡する方針とした。その分、必要な研究協力者数および現時点でのリクルート数は当初計画より少ないが、データ量としては十分得られている。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は5医療施設への拡充を行い、100名の登録を完了させる。得られたデータは予備解析を行い、解析の方向性を見出す。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度で購入予定だった解析用PC(100万円相当)が、別経費で購入できることとなり、物品費を想定より使用せずに済んだ。次年度はそれを被験者謝金にあて、研究参加者と研究参加期間の拡充を行う予定である。
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