従来の研究では、感覚記憶は0.5秒だけ持続すると考えられており、ほとんどの心理学の教科書に記載されるほど古典的な知見となっている。最近の研究では、刺激提示後0.5秒以上経過してからも情報が利用できることを根拠に、感覚記憶とは別の記憶貯蔵庫が存在するという提案がなされている。しかし、本研究の結果、感覚記憶は0.5秒より遥かに長時間持続することが示された。そのため、刺激提示後しばらく経過した後にも感覚記憶が利用されている可能性は高く、別の記憶貯蔵庫を想定する必要はないと考えられる。このように視覚記憶のモデルを構築する上で、感覚記憶の性質を明らかにすることは非常に重要であると考えられる。
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