面影は、日本では古くから用いられてきた概念だが、これまで心理学の観点から研究されることは皆無であった。しかし面影は、(顔や風景などの)知覚対象と記憶表象間での相補的照合や、今はもうない対象に対する「不在の認知」などに基づいた、心理学的にも興味深い主観的現象と捉えることができる。したがって、本研究において、心理学の観点からその概念構造や機能的特性の検討を試みたことは、今後、幅広い学際的研究に発展する可能性がある。 特に、本研究では既知人物の「面影」を可視化する手法を開発した。この手法により、たとえば「在りし日の故人の面影」を可視化するなど、グリーフケアのような臨床場面にも応用できる可能性がある。
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