研究課題/領域番号 |
18K18706
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 |
研究代表者 |
片桐 真子 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 研究員 (50359379)
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研究分担者 |
若村 智子 京都大学, 医学研究科, 教授 (40240452)
長島 俊輔 京都大学, 医学研究科, 助教 (80826503) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2024-03-31
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キーワード | サイン音 / 気づきやすい音 / オリエンティングレスポンス / RRI / 概日リズム |
研究実績の概要 |
私たちは様々な音が混在する環境の中で生活している。聴覚信号は、メッセージを伝えることを目的とした音と定義されており、どのような状況でも聞き取りやすく、他の音と区別でき、繰り返し聞いても違和感のないものでなければならない。このような聴覚信号の評価は、静かな部屋で対象音を聴かせ、感じたことを与えられた評価語で答えるという方法が一般的であるが、その多くは、予測可能な条件のもとで聴覚信号のみを提示する実験から得られたものである。そのため、現実的な評価とはかけ離れた結果となり、評価手法としての客観性に欠ける場合がある。 本研究は、外的刺激を受けた際の定位反応と呼ばれるヒトの生理変化のうち、心拍変動に着目した。心電図波形からRR間隔(RRI)の変化定量化し、客観的な評価手法として提案し、これを用いて、気づきやすい聴覚信号の音響特性の抽出を目的とした。被験者実験は、概日リズムを考慮した実験プロトコルに沿って、22名の成人男性が2泊3日の日程で参加した。テスト音は、可聴域に配慮した周波数範囲において、作成した長3度と増5度の音程からなる8つの楽音と複雑音を作成し、生活環境を模擬した実験室においてランダムに提示した。予期せぬタイミングで暴露されるテスト音に対する生理変化を、テスト音の前後5拍のRRIから算出したOR値から評価した。その結果、テスト音に対する気づきやすさの評価は、再現性の点で純音より楽音の方が優れていること、提示時間帯の影響を受けにくいテスト音があること、音の印象を考慮した気づきやすい聴覚信号の候補として、200Hz以下のC3+E3間隔の楽音とC6+G#6間隔の複雑音が抽出された。すなわち、ORは予期せぬ刺激に対する人間の反応の違いを客観的に評価するための有効な手法であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験室実験の結果を考察する過程で、生体リズムに考慮した視点からデータベースを再構築し解析を行ったため。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍により共同研究者と対面ミーティングがほとんど叶わなかったが、頻繁にオンライン会議を重ねようやく投稿準備が整った。英文投稿と国内外での口頭発表を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文投稿費用、学会発表および旅費
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