拡散現象や相転移現象のような不可逆過程については、前世紀に物理学の古典論が確立し、その後、様々な現象の解析に適用されてきた。しかしその過程に於いて、古典論の予測から大きく逸脱する不可逆現象が多々発見されるようになり、古典論の見直しに対する強い動機をもたらした。ここで扱う非整数階微分や非線形拡散は古典論の修正に効果的であり、多くの注目を集めている。本研究課題の研究成果はそのような新しい構造を伴う数学的対象に対して、十分な汎用性と応用性を兼ね備えた理論を与え、この分野の研究に於いて1つの基盤となるものと考える。数学的基盤が整備されることで応用研究の土台が整い、広範な分野への波及効果が期待される。
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