研究課題
挑戦的研究(萌芽)
短期的(一時的)な温湿度環境曝露による皮膚への影響として,室内絶対湿度が高い条件だけでなく,室内温度が高い条件でも皮膚含水率が高くなることを明らかにした。温度上昇に伴う皮膚含水率の上昇については,角層における水分の拡散係数がアレニウスの関係によって増大するためと推定された。一方,長期的(日常的・継続的)な温湿度環境曝露による影響として,夏から冬へかけて皮膚含水率が低下することを明らかにするとともに,この現象が角層平衡含水率の長期的変化によるものであることを示した。
建築環境・設備
温湿度環境による皮膚乾燥への影響に関しては,従来,理論的解明が不十分であったが,本研究によって,短期的影響と長期的影響の2つのメカニズムによって説明できることが明らかになった。そのメカニズムに基づけば,皮膚乾燥防止の観点からは,室温が高ければ室内湿度下限値を緩和し得ることや,夏と冬の室内湿度下限値が同一である必要が無いことが推定される。このように,室内湿度基準の改正や明確化に寄与する知見が得られたことの意義は大きい。