タンパク質の経鼻投与は,脳内への速やかな薬物送達,全身性副作用の回避ができ,非侵襲的なため理想的な脳内デリバリーの経路といえる。しかし,タンパク質を鼻腔へそのまま投与しても,粘液での洗浄作用,粘膜中プロテアーゼによる分解,さらに粘膜組織の透過性の低さが問題でほとんど脳へ到達することはない。本研究では,これらの問題を克服するために,固体のSolid-in-Oil-in-Water(S/O/W)エマルションをタンパク質性薬物のキャリアとして用いた。結果として,粘膜近傍でエマルション油相を酵素分解することで,放出した界面活性剤-タンパク質複合体が脳内タンパク質デリバリーを促進することが判明した。
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