本研究では、液体状態の添加剤による結晶化促進の新概念を提唱する。通常、結晶化促進剤は固体状態で機能するので、液体状態で促進効果があるという結果は全く新規な現象である。Hoffman-Lauritzenの理論によると、結晶ラメラ中でのポリマー鎖の折りたたみが規則正しい場合は、臨界核の厚みが減少し、結晶化のエネルギー障壁も低下する。その結果、核形成が促進され誘導期が減少し、結晶ラメラの厚みの成長速度も増加し、結晶化速度も増大した。つまり、液状添加剤が1%程度存在する状態で結晶核が形成される際に、その添加剤分子がポリマー鎖の折りたたみをスムーズにするように作用したと説明することができた。
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