本研究では、アルカプトン尿症の特徴の一つであるホモゲンチジン酸の酸化重合反応をフラスコ内で再現することに着手した。様々な条件下でホモゲンチジン酸及びその類縁体の重合反応を検討した結果、ホモゲンチジン酸の酸化体であるベンゾキノン酢酸の反応性が高く、本分子が黒変化の原因物質である可能性が示唆された。さらに、重合阻害剤の探索が可能なスクリーニング系の確立を行い、アスコルビン酸がホモゲンチジン酸及びベンゾキノン酢酸の重合を阻害するという分子レベルでの証拠を得ることができた。これらの知見は、アルカプトン尿症の病理メカニズムの解明において重要な手がかりとなりうる。
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