研究課題/領域番号 |
18K19305
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分43:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
緒方 一博 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (90260330)
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研究分担者 |
仙石 徹 横浜市立大学, 医学部, 講師 (60576312)
浜田 恵輔 横浜市立大学, 医学部, 助教 (00344052)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 転写制御 / ヌクレオソーム / ヒストン修飾酵素 / クライオ電子顕微鏡 |
研究成果の概要 |
転写活性化に伴うヌクレオソームーエンハンソソーム構造変換にはヒストン修飾酵素が重要な役割を果たす。本研究では、クライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析法により、ヒストンメチル化酵素の一つであり、ヒストンH3のリジン36(H3K36)をジメチル化するNSD2と基質であるヌクレオソームとの複合体の立体構造を決定した。NSD2は単独では自己阻害ループにより不活性であるが、ヌクレオソームが存在すると、自己阻害ループの構造変化とDNAのヌクレオソームからの解けが協調してH3K36のメチル化が行われ、がん化型NSD2変異体では自己阻害ループの作用の損傷により、酵素が脱抑制状態になっていることが明らかになった。
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自由記述の分野 |
生化学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
分子構造レベルでのがん化の機構研究は、特に細胞質におけるシグナル伝達分子としてのリン酸化酵素やそのアロステリック制御因子であるGタンパク質の変異について解析が進んでおり、分子標的薬の開発のための基盤となっている。しかしながら転写因子やヒストン修飾酵素などの核内の分子の変異によるがん化については研究が遅れているのが現状である。本研究では、遺伝子発現に関与する分子複合体の構造解析により、がん化の引き金となる核内でのイベントを分子構造レベルで解明したことになり、核内因子を標的としたがん分子標的療法への道を開くことで、がん治療の適応範囲が大きく広がることが期待される。
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