がん変異に影響される蛋白質間相互作用の戦略的な同定手法の確立を目指した.まず,がんゲノム変異と蛋白質立体構造データを組み合わせ,KEAP1蛋白質表面に変異クラスターを特定した.次に,この領域に結合する因子を独自の細胞内光クロスリンク法により解析し,Rab8aを同定した.さらに,KEAP1はRab8aの抑制を介してMT1-MMPの輸送を阻害すること,また,KEAP1のがん変異によりRab8aとの相互作用が破壊され,MT1-MMPが解放される結果,細胞遊走能が亢進する可能性を示した.これらの結果は,変異クラスターに着目すればがん変異に影響される蛋白質間相互作用が同定できることを示している.
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