本研究は、優れた分子構造の解析法であるが感度は低いNMR分光法の感度を飛躍的に高める新しい手法である動的超偏極法(DNP)を、タンパク質など水溶性生体分子の分析に生かせるようにするための取り組みである。具体的にはDNPに有用であるが極めて疎水的な分子ペンタセン(Pc)を、複数のグルコースが環状化したシクロデキストリン(CyD)の誘導体を設計・合成して包接させる検討を行った。その結果、Pcの疎水表面を包み込むサイズを有し、表面を親水基だけとすることのできる、2つのCyDを架橋した分子の合成に成功した。さらに、PcとCyDとの間で共有結合を形成して水溶性となる分子の合成を試みた。
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