研究課題/領域番号 |
18K19448
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉村 康秀 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (60263307)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 再生医療 / iPS細胞 / 相同組換え / ゲノム編集 |
研究実績の概要 |
ゲノム編集技術を活用し、ブルーム蛋白インヒビターとトランスポゾンベクターだけを用いて『ゲノムに全く変異を与えることなく』、既存のiPS細胞から全て のHLA座位に関してホモ接合体を作製する手法を確立する事を目的とした本申請である。平成30年度においては、まずTet-offによるブルーム遺伝子の発現抑制に よるHLA座位におけるホモ接合体の作製に成功した。次に、再生医療への展開を狙い、ゲノムを修飾してしまうTet-offに代わってブルーム蛋白インヒビター (ML216)の使用によるHLA座位におけるホモ接合体の作製にも成功した。この際、mRNAの発現が20%程度までしか抑制できないTet-offよりも、ML216の使用によって25%高い効率でホモ接合体が得られたが、ML216を用いたホモ接合体の作製に関して、作用時間及び濃度に関して現在さらなる条件検討を行っている。 当該技術に関して、すでに確立している技術的内容に関して、【発明の名称】ホモ接合型細胞の作製方法(特願2018- 89779 )として特許を出願中である。本技術に関しては、新規のデータを加えて特許強化を図り、国際特許出願も行った(PCT/JP2019/018379)。さらに、本技術に関 して汎用性の証明と再生医療への適用を鑑みて、ヒトES細胞を用いて、すでに臨床応用が開始されてい る株(SEES2)を用いたHLAホモ接合体の作製を開始している。また、本申請のもう一つの目的である、病因領域特定システムの開発についても、研究を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
iPS細胞に関しては、これまで我々が保有する1株のみによる研究であった。システムの汎用性を確認するためにも、成育医療研究センターとの共同研究で、ヒトES細胞を用いた研究に着手した。これにより、ブルームの抑制による染色体交差頻度の上昇が、stem cellで普遍的 に生じていることを確認するとともに、ヒトES細胞におけるブルーム蛋白インヒビター(ML216)の使用条件を確立する。なお、ヒトES細胞の使用に関する文部科学省への使用計画届出書に関しては、成育医療研究センターを通じて提出済みである。
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今後の研究の推進方策 |
現時点では、ブルーム蛋白インヒビターを用いる事によって、効率良い相同組換え誘発システムを構築している。一方で、ブルーム蛋白の阻害は、一時的にせよゲノムの不安定化をもたらす。これまでの解析で我々が見出している、染色体切断に伴って高頻度に相同組換えを生じる領域の解析を進める。これにより、ブルーム蛋白の阻害がなくとも相同組換えを生じさせる技術開発を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に会計事務が混雑していたため、残額が生じたままとなった。少額であるので、消耗品などで直ぐに使用する予定である。
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