研究課題
近年の癌ゲノム研究によって分子サブタイプ分類が進み、ゲノム医療・プレシジョンメディシンへの応用が期待されている。消化器癌においてもARID2変異肝癌、KDM6A/TP53変異膵癌、CDH1/RHOA変異胃癌など難治性サブタイプの存在が明らかになったが、その分子生物学的意義が不明なため治療標的の開発には至っていない。我々はゲノム編集技術を用いてARID2変異ヒト肝癌を解析し、DNA修復異常によってhypermutatorとなることを証明した(J Hepatol 2017)。本研究では、多重ゲノム編集を可能とする新規レンチウイルスベクターの開発を目的とする。癌細胞には多くの遺伝子変異が蓄積しており、多重ゲノム編集技術によって分子サブタイプの解明のみならず、同系マウスがん細胞パネルの構築が可能となり、免疫チェックポイント阻害剤との併用療法など新規治療開発へも応用できる。実臨床を目指したプレシジョンメディシン実装化のブレークスルーとなる挑戦的かつ戦略的研究課題である。新規多重ゲノム編集ウイルス LentiGuide-multiplex systemを改良し、4遺伝子を標的とするシステムを構築した。高効率ゲノム編集解析を用いて、ARID1A変異癌の分子生物学的、臨床的特性を解明した(Carcinogenesis, in press)。さらにβカテニンをコードするCTNNB1遺伝子のイントロン2とイントロン3を同時に2重ゲノム編集し、GSK3βリン酸化領域を含むエキソン3をスキッピングした変異株を作成した結果、βカテニンシグナル増強による抗免疫作用を新たに見出し、計画以上の成果が得られている。我々は臨床検体解析にてβカテニン変異癌がcold tumorを呈することを明らかにしており(EBioMedicine 2019)、新たな治療標的の同定により免疫複合療法を開発する重要な基盤となる。
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