研究課題
挑戦的研究(萌芽)
大動脈瘤・大動脈解離は破裂により突然死を来たす疾患である。治療法は外科的治療に限られているため、病態解明に基づく新規治療法の開発が待ち望まれている。本研究において、過度な力学的刺激がマクロファージの免疫・炎症応答を増長することを発見した。シグナル分子c-Jun N-ternimal kinase(JNK)のアイソフォームの抑制によって、力学的刺激により増長されるマクロファージの免疫・炎症応答が阻止され、さらに力学的刺激下で誘発されるモデル動物の病変の進行が軽減された。
心臓血管外科学
本研究における発見から、大動脈瘤・大動脈解離の病変部特有の力学刺激と免疫・炎症応答系との連関が制御可能であることと、その制御が新規治療法に繋がる可能性があることが示された。病変部特有の力学刺激と免疫・炎症応答系との連関を標的とすれば、全身の免疫系には影響しない、副作用の少ない治療法が期待できる。広く慢性炎症性疾患に対する新たな作用機序の抗炎症薬の提供にも繋がる。