研究課題/領域番号 |
18K19691
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
上島 通浩 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (80281070)
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研究分担者 |
那須 民江 中部大学, 生命健康科学部, 客員教授 (10020794)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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キーワード | トリクロロエチレン / 過敏症症候群 / 薬剤性過敏症症候群(DIHS) / 自己抗体 / CYP2E1 / 生物学的モニタリング / 尿中代謝物 / 許容濃度 |
研究成果の概要 |
有機溶剤トリクロロエチレン(TCE)による職業病の1つに、重症薬疹に酷似する全身性皮膚・肝障害(過敏症症候群、以下HS)がある。死亡など重篤な結果を招きやすいTCE-HSの発症には感受性遺伝子(HLA-B*13:01)が関与し、曝露管理を中心とする従来の労働衛生対策では十分な予防が困難と本研究提案時には思われていた。本研究により、TCE-HSの発症リスクはTCEの尿中代謝物(トリクロロ酢酸)の濃度が15 mg/L超で大きく上昇すること、すなわち曝露量管理が疾患発生の予防に必要であることが解明された。また、代謝酵素チトクロムP450への血清自己抗体レベルが曝露により上昇することが明らかになった。
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自由記述の分野 |
衛生学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
1.本研究によって曝露量の管理がTCE-HSの発生予防に必要なことが明らかになり、日本産業衛生学会がTCEの許容濃度(尿中トリクロロ酢酸の生物学的許容値)を従来の50 mg/Lから10 mg/Lに引き下げる改訂の根拠となった。 2.TCEへの曝露により血清チトクロムP450(CYP2E1)自己抗体が上昇し、CYP2E1との免疫複合体形成がTCE-HS発症の機序である可能性が、感受性遺伝子HLA-B*13:01が自己抗体上昇に関与しないこととともに明らかになった。すなわち、自己抗体を産生させない曝露管理が発症予防に有用であるという、有機溶剤中毒予防の領域で新しい概念を打ち立てた。
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