暗号理論の安全性証明は,安全性という曖昧な概念を数学的に書き下す,という意味で独特の論理体系を構築してきた.これは強固な安全性を保証するという利点と,その一方で分野外の研究者には困難が伴うという難点を抱えている.今後ますます重要になると予想される情報セキュリティの中核である暗号理論に対して,直観的で分かり易い理解の仕方を提供することは,暗号・情報セキュリティ技術がより社会に受け入れられるために必要なことである.論理学と暗号理論の関係をより深めていくことは,学際的な研究として重要であると考えており,得られた成果は学術的興味が実社会で役立つ良い事例になっていると考える.
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