本研究の意義は,崩し字で書かれた版本や写本を計算機で自動的に活字化(翻刻)することである.江戸時代の古文書はその99%以上が翻刻されておらず,最後に残された最大の文字文化である.しかし多くの現代人にはそれを容易には読みこなせない問題がある.古文書を読むためには専門的な知識と訓練を要し,現状では圧倒的に人手が足りていない.この問題を解消すべく,計算機による自動的な古文書の翻刻に貢献した.現在では版本に対しては95%前後の正解率を叩き出すが、版本ではない肉筆の古文書の崩し字には、読みにくい文字がまだまだ沢山ある。これらの難易度の高い崩し字の認識も視野に見据え、正解率を高める1つの方法を提案した。
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