本研究の目的は、迫真的な触力覚提示の開発である。視聴覚を中心とした提示技術が普及しつつある一方で、触覚提示については決定的な普及に至っていない。触力覚が真価を発揮する場面は「複数指で物体を把持、認識、操作する」状況であり、そのためには各指に多自由度の力を提示する必要がある。しかしこれは現在でもハードウエア的に非常に難しいものであった。本研究は「指先で触れる際の触力覚は、指先に提示される必要はないのではないか」という着眼点に基づき、指先の触覚を前腕、頭部、背中に転移させる手法によって手先への触覚ディスプレイの装着を不要とするシステムを構築した。
|