私たちは、大勢の人が話しているパーティーでも相手の言うことを聞き取れる。本研究では脳と比較可能な神経回路モデルを作ることを目標に「重なった音声信号の1つに注意を向ける人工神経回路を自律学習で作り出す」という問題に挑戦した。注意の機構を備える人工神経回路モデル(transformer)に環境音データベースの音声情報を入力して、ラベルなしで情報量を最大化する自律学習を行わせたところ、環境音を複数の対象として「認識」してそのいずれかに「注意」を向ける機構が獲得できることが示された。このaudio-transformerは「カクテルパーティ問題」の謎を解くための有力な神経モデルとなるだろう。
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