研究課題
挑戦的研究(萌芽)
自律神経系の活動変調による心房細動の発症機序の解明に向けて,培養心筋細胞の興奮伝播を空間パターンに着目して解析した.結果,心筋細胞の純度や密度に依存してリエントリー様の活動が発生することを示した.さらに,高密度に電極を配置した計測デバイスを用いてヒト心筋細胞の伝播パターンを解析したところ,同じ位置でも伝播の方向によって伝播速度が異なることを示した.以上は,不整脈発生の機序解明に向けて重要な知見である.
神経工学
本研究で得られた成果は,培養環境でも不整脈の一種であるリエントリーに類似した活動伝播が発生すること,および興奮の伝播速度が伝播の方向に依存して変わることである.前者は疾患を培養皿の中でモデル化できる可能性を示した点で学術的・社会的に重要である.後者は,健常な心臓で起こっている興奮伝播が,伝導経路の微小な変化から不整脈へと変化していく機序となりえる点で重要である.