研究課題/領域番号 |
18KK0271
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研究機関 | 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所 |
研究代表者 |
生田 和良 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 部長 (60127181)
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研究分担者 |
佐々木 正大 大阪大学, 医学系研究科, 招へい研究員 (20547533)
山元 誠司 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 研究員 (20649008)
改田 厚 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主任研究員 (50372131)
中田 恵子 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主任研究員 (50516747)
上林 大起 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 研究員 (50622560)
倉田 貴子 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主任研究員 (70435890)
青山 幾子 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主任研究員 (90332452)
本村 和嗣 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 課長 (60450558)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2021-03-31
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キーワード | 輸入感染症 / 麻疹 / 風疹 / 手足口病 / SFTS / 迅速診断キット / 単クローン抗体 |
研究実績の概要 |
わが国は、麻疹排除国として2015年にWHOから認定されたが、その後も各地でアウトブレイクを繰り返している。これは、周辺国から日本に持ち込まれる、いわゆる輸入感染症が引き金になっているからである。 本研究の目的は、日本と近隣諸国で行き来する輸入ウイルス感染症として麻疹、風疹、手足口病、SFTSを選び、これらの海外からの持込みを水際で効果的に迅速診断できる検査キットを国際共同研究グループとの連携により開発することである。本研究の成果は、輸入感染が懸念される麻疹ウイルス、風疹ウイルス、手足口病関連ウイルス、SFTSウイルスに関して、侵入時の水際となる臨床現場で貢献できる診断体制を確立するために有用であり、公衆衛生に寄与するものである。 わが国および近隣諸国に分布する麻疹ウイルス、風疹ウイルス、手足口病関連ウイルス(以上はタイ王国、インドネシア、中国のグループとの連携)、およびSFTSウイルス(中国のグループとの連携)の検出に有効な迅速診断キットを開発するために、これらの臨床ウイルス流行株と特異的に反応するマウス単クローン抗体の作製、そしてこれら抗体を用いた迅速診断キットを開発する。 2018年度は初年度であり、半年のみの期間であった。本年度は、研究代表者の生田と研究分担者の改田と佐々木がタイを訪問し、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、手足口病関連ウイルスに関する情報収集とウイルスの流行株入手に関する打ち合わせを行ってきた。また、迅速診断キット開発に必要なマウス単クローン抗体の作製を、日本の流行株を用いて着手し、SFTSウイルスおよび手足口病関連ウイルスであるエンテロウイルス71に対する単クローン抗体を産生している幾つかのハイブリドーマ候補株の作製に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
迅速診断キットを開発するうえで必要となる、日本および近隣諸国で蔓延している流行株に対して特異的に反応するマウス単クローン抗体を作製する。初年度の2018年度は半年のみであったため、SFTSウイルスおよび手足口病に関連する病原体となるエンテロウイルス71に対して試みた。これまでに幾つかの特異抗体産生ハイブリドーマ株を作製できたが、最終目標である迅速診断キットの開発に有用であることは確認できていない。また、海外の共同研究国の1つであるタイ王国のマヒドン大学熱帯医学部を研究代表者の生田、および研究分担者の改田、佐々木が訪問したが、他のインドネシアと中国を訪問する機会を作ることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後、インドネシアおよび中国を訪問し、国際共同研究グループとの綿密な共同研究実施の打ち合わせを行うと共に、まず、日本国内の流行株を用いてマウス単クローン抗体の作製を行う。得られた抗体のなかから、広域性に、特異性、感度が高い迅速診断キット開発を可能にする候補抗体を確定する。その後、順次キット作製を行い、実際の臨床検体を用いた反応性の感度と特異性を確認する計画である。 一方、海外の流行株に関しては、日本への輸入は困難なので、不活化したウイルス粒子をウイルス抗原として、もしくは表面たんぱく質の遺伝子をPCR増幅後に持ち帰り、その遺伝子発現たんぱく質をウイルス抗原として用いることにより、日本のウイルス臨床株を免疫することにより既に得られているマウス単クローン抗体が日本株と同様に反応するかどうかの確認を行う計画である。 このように、日本および周辺諸国間で広がっている流行株との反応性が確認できたマウス単クローン抗体の作製に成功した段階でイムノクロマトキットの開発を、研究協力者である小坂(マルホ株式会社)との共同研究としてスタートする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度の計画が、予定通り進まなかった。本研究に参加するメンバーは、地方衛生研究所において検査業務に従事している。この時期に一致して、麻疹や風疹の大流行があり、たくさんの患者検体が継続して持ち込まれたために、本研究のために多くの時間を捻出することができなかった。また、海外の共同研究先を訪問する機会も計画よりも少なかった。これらに充てていた助成金は2019年度に、2019年度分として請求した助成金と合わせて使用予定である。
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