研究課題/領域番号 |
18KK0288
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
細見 正明 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90132860)
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研究分担者 |
利谷 翔平 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80725606)
佐久間 一幸 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 福島研究開発部門 福島研究開発拠点 福島環境安全センター, 研究職 (90773474)
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研究期間 (年度) |
2019-02-07 – 2022-03-31
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キーワード | 節水イネ / 亜酸化窒素 / メタン / ヒ素 / カドミウム / 水循環解析 |
研究実績の概要 |
国際共同研究の相手方である上海農業科学院の周勝教授と平成31年度の節水イネの栽培計画・調査方法・分担範囲の協議をした。その結果、18試験区画(1区画約40m2)として、節水イネと通常の対照イネの2種類、灌漑方式が3種類(通常の水管理、間断灌漑管理、干ばつ管理)、それぞれ3反復で行う。節水イネおよび通常のイネ栽培管理は、周勝教授の研究グループが行い、東京農工大学側はイネ栽培管理の状況を考慮して、3回程度、上海農業科学院に1週間前後滞在し、降雨前後の試験水田区画からのメタンや亜酸化窒素放出特性を集中的に観測する。また、根圏の土壌間隙水を採取しカドミウムとヒ素濃度を測定する。イネ試料(地上部と地下部を含めて)を定期的に採取し、成長量とともに、部位毎のカドミウムおよびヒ素の測定を行う。 亜酸化窒素同位体アナライザーを用いて、落水前後の水田を模擬した土壌カラムを用いて、亜酸化窒素の濃度およびSP値を測定した。その結果、水の浸透速度が小さい場合、SPは0‰前後となり、脱窒に伴う亜酸化窒素生成が推定された。しかし、浸透速度が大きい場合、SPは30から40‰となり、硝化による生成が示唆された。 土壌中の溶出可能な重金属画分が、節水イネに吸収されると考えられため、非汚染土壌を対象に、ヒ素の多段水抽出試験および化学的逐次抽出試験を実施した。多段水抽出により、全含有量の25-35%のヒ素が溶出する可能性が示された。また、多段水抽出前後の土壌試料について、逐次抽出試験を実施した結果、非特異吸着態As(硫酸アンモニウム抽出画分)と特異吸着態As(リン酸水素アンモニウム抽出画分)が水に抽出されうるヒ素画分であることが示された。 GETFLOWSを用いた水田モデルを検討するための予備的検討のため、福島県内の太田川上流域を対象に、水循環解析を行い、平水時および降雨時の流出応答がある程度再現性があることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際共同研究の相手方である上海農業科学院の周勝教授と平成31年度の節水イネの栽培計画について調査方法と分担範囲を決めることができたため。 N2Oアナライザーを用いた亜酸化窒素フラックスの定量・亜酸化窒素生成機構推定や土壌中におけるヒ素抽出方法の見通しを立てることができたため。 GETFLOWSにより平水時および降雨時の流出応答がある程度再現性があることを確認できたため。
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今後の研究の推進方策 |
国際共同研究の相手方である上海農業科学院の周勝教授とともに節水イネおよび通常のイネ栽培を実施する。栽培期間中の亜酸化窒素やメタン放出特性、根圏土壌溶液中およびイネバイオマスのヒ素およびカドミウム挙動を明らかにする。観測データに基づきGETFLOWSによる水田の流出解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
アナライザーの改造、およびその手続きに3か月以上要し、年度内に改造を完了できなかったため。
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