本研究の主要な貢献は2つある。第1に、加齢に伴うエンプロイアビリティとプロアクティビティの変化の軌跡は必ずしも一様ではないことが明らかにした。多くの企業で定年年齢を迎える60歳前後において、勤労者は内部の雇用機会獲得に限界を感じるものの、外部の雇用機会や他の就業機会に対して、状況に応じたキャリアの再構築を積極的に行っていることが確認された。第2に、時系列調査データの解析結果から、シニア社員におけるキャリア及び仕事両面のプロアクティビティを高めるいくつかの共通因子が明らかとなった。これらの結果を踏まえ、シニア人材のプロアクティビティ向上に向けた実践的なインプリケーションを検討した。
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