研究課題/領域番号 |
18KK0421
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
神経生理学・神経科学一般
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研究機関 | 名古屋大学 (2020-2021) 京都大学 (2018-2019) |
研究代表者 |
細川 智永 名古屋大学, 理学研究科, 講師 (30602883)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2021
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キーワード | シナプス可塑性 / シナプス / 液-液相分離 / 受容体 / 記憶 |
研究成果の概要 |
本課題では香港科学技術大学およびボルドー大学との共同研究を通じて、シナプス膜表面の神経伝達物質受容体の振る舞いに関する新しい理論を打ち立てた。現在注目を集めている液-液相分離現象を前提としたこの理論は、シナプスの超高解像顕微鏡法によって得られていた知見やCaMKIIをはじめとしたシナプスタンパク質の分子的な性質と一致しており、記憶形成とシナプス可塑性を説明する新しいメカニズムであると期待される。 この結果は2021年のNature Neuroscienceに発表したほか、国内外の複数の総説にて解説している。
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自由記述の分野 |
神経科学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
記憶形成は一時的な情報がシナプス強度の増強として固定されるプロセスであるが、その詳細なメカニズムはわかっていなかった。本課題により、興奮性刺激によるカルシウム流入がシナプス蛋白質のコンデンセートの可塑的な形成を引き起こし、シナプス強度を増強していることが明らかになった。このことは認知症患者の記憶を強化するような治療戦略に利用できるほか、逆にコンデンセートの離散を誘導することでPTSDの治療に役立てることができる。また、タンパク質のコンデンセート形成は神経変性疾患に見られるタンパク質アグリゲートと密接に関わっていることが報告されており、本課題によりそれら疾患の原因の理解を促進できる。
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