研究課題
本研究の基課題は「大規模環境疫学研究のためのライフコース統計解析手法の重点的開発と実データ適用」であり、環境要因や環境化学物質のように,単一での影響は小さく,複合的な曝露が問題となるリスク因子や,人の生涯において例えば成長発達期などリスク因子への感受性が高まる特定の時期が存在するようなリスク因子を対象とした疫学研究において,曝露状況が経時的に変化するような状況に対応する統計モデルを実データに適用することを目的とする.本基課題では,主に社会医学領域で提唱されてきたライフコース疫学の概念を環境疫学に持ち込み,なおかつ臨床試験領域で提案された,対象者の治療が対象者の疾患の状況で変化する状況に対応する統計モデルを環境疫学データに適用することを目指して研究を遂行中である.疫学調査研究においては,研究開始時点のベースライン調査で対象者のリスク因子を評価し,その後は興味ある疾患の発症もしくは死亡を追跡する主に成人や高齢者を対象とした慢性疾患の疫学は,コホートデータの解析手法が確立されつつあるが,最近は,複合的で強くないリスク因子や特定の作用期間が存在するリスク因子の影響を,対象者の生涯に渡ってリスク評価しようとするライフコースアプローチが注目されている.ライフコース疫学研究においては,リスク因子への曝露状況が生涯にわたって経時的に変化し、また疾患も場合によっては(例えばアトピーや食物アレルギー等の免疫疾患のコントロール状況のように)曝露の変化に影響を受けて生涯にわたって経時的に変化する可能性を考える。2021年度については、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の世界的な蔓延で海外研究機関に渡航の調整を行うことができず、基課題に関する研究を遂行に専念したため、本研究(国際共同加速)部分については大きな進展はなかった。
3: やや遅れている
今年度は新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の世界的蔓延に伴い、海外研究機関への渡航が困難となったため、本研究費を利用した研究を遂行することができなかった。一方、海外研究機関とは定期的にWebミーティングを実施することができ、研究状況の整理や助言を得ることができたため、国内に居ながらシミュレーション研究を遂行することができ、「やや遅れている」状況であると判断した。
COVID-19感染状況を見ながら渡航の準備を進めたい。オンライン等で国際共同研究先研究者とコミュニケーションを取りつつ、渡航した際に効率的に研究が進められるよう日本で実施可能な文献調査やシミュレーション研究等の準備をより進め、オンライン開催の国際学会等への参加をする予定である。
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すべて 雑誌論文 (9件)
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