研究課題/領域番号 |
18KK0466
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
竹内 文乃 中央大学, 理工学部, 准教授 (80511196)
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研究期間 (年度) |
2019 – 2024
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キーワード | ライフコース疫学 / 疫学統計学 |
研究実績の概要 |
本研究では、生活習慣や化学物質曝露に代表されるような複合的・経時的な曝露の影響が問題となるようなリスク因子の健康影響を定量することを目指す疫学研究のための生物統計学的手法の確立・適用を加速させるための海外共同研究を実施した。 元研究は研究は以下3つのパートに分かれている。①経時的なリスク因子への曝露が測定されている場合に,その経時的な曝露の影響や影響のある特定の時期を探索する統計解析手法,②疾患状態が連続的に評価され,曝露と疾患状態が互いに影響しあって推移する場合に,特定のリスク因子が疾患に直接影響する程度と間接的に影響する程度を分離する統計解析手法,③曝露状態が経時的に変化する場合に,その軌跡を推定しつつ結果に与える影響を評価する統計解析手法. 本研究では、パート①について共同研究先の施設が保有するデータを利用した適用研究を行った。経時的なリスク因子への曝露が測定されている場合:健康診断データに代表されるように、疫学研究ではしばしば経時的な曝露(リスク因子)が評価されているが十分に活用されてこなかった。本パートではその経時的な曝露の影響や曝露が効果を及ぼす時期を探索するための統計解析手法の整理と適用を目指し、方法論のレビュー及び整理、健康診断データおよび出生コホートデータへの適用を実施してきた。共同研究先では女性を対象として妊孕性および妊娠中、出産後の児を追跡したコホート研究データを収集しており、児のアレルギー発症や発達をアウトカムとし、母親の妊娠中から経時的に候補となる曝露情報が収集されていた。本研究では、妊娠初期から中期、後期、産後1か月、半年、1年、2年、3年の時点での生体試料中の化学物質(重金属)を曝露因子都市、遺伝要因や環境要因のうち交絡の可能性がある因子を調整したうえで、曝露の影響を強く受けるCritical Windowの推定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍が終わり、昨年度から今年度にかけて断続的に渡航を伴う国際共同研究を行うことができた。本研究では、生活習慣や化学物質曝露に代表されるような複合的・経時的な曝露の影響が問題となるようなリスク因子の健康影響を定量することを目指す疫学研 究のための生物統計学的手法のレビューと整理及び実データへの適用を行ってきた。研究は以下3つのパートに分けて実施している①経時的なリスク因子への曝露が測定されている場合に,経時曝露の影響や影響のある特定の時期を探索する統計解析手 法,②疾患状態が連続的に評価され,曝露と疾患状態が互いに影響しあって推移する場合に,特定のリスク因子の直接影響と間接影響を分離する統計解析手法, ③曝露状態が経時的に変化する場合に,その軌跡を推定しつつ結果に与える影響を評価する統計解析手法。 現在①パートについての国際共同研究を実施し、数値実験および実データへの方法論の適用を試みることができたが、②パートについては次年度(2024年度)に実施予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、生活習慣や化学物質曝露に代表されるような複合的・経時的な曝露の影響が問題となるようなリスク因子の健康影響を定量することを目指す疫学研 究のための生物統計学的手法のレビューと整理及び実データへの適用を行ってきた。研究は以下3つのパートに分けて実施している①経時的なリスク因子への曝露が測定されている場合に,経時曝露の影響や影響のある特定の時期を探索する統計解析手 法,②疾患状態が連続的に評価され,曝露と疾患状態が互いに影響しあって推移する場合に,特定のリスク因子の直接影響と間接影響を分離する統計解析手法, ③曝露状態が経時的に変化する場合に,その軌跡を推定しつつ結果に与える影響を評価する統計解析手法。今年度は②パートについて国際共同研究を実施予定である。 ②は曝露と疾患状態が互いに影響しあって推移する場合を想定している。ここでは不可逆な疾患ではなく,アレルギー疾患のように疾患状態(重症度等)が経時的に変動し,連続的なスコアとして経時的に評価される状況を想定する。 特に、本研究で対象とする小児アレルギー性疾患(食物アレルギー,アトピー性皮膚炎,喘息等)は5歳までには診断がおおよそ確定すると考えられる。また,アレルギーの重症度(スコア)は生後すぐから定期的に評価しており,また併せてアレルギーに影響すると考える家族歴(経時的に変動しないリスク因子)や生育環境(経時的に変動するリスク因子)の調査もたびたび行われている・対象児の生育過程でアレルギー傾向がみられると,保護者の意識に影響を与え,生育環境が変化し,それが児のアレルギー傾向に影響するなどの原因と結果の経時的・相互的な影響が考えられるため,特定の時期のリスク因子が結果に直接的に影響する程度,間接的に影響する程度を分離した評価を数値実験及び実データへの適用により評価をしていく。
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