研究課題
1.Sr2Ru04におけるスピンホール効果:2006年にPtでn型半導体の実測値の10000倍の大きさのスピンホール伝導度が観測されて以来、d電子系におけるスピンホール効果の研究が盛んである。我々はd電子系の持つ軌道自由度に着目し、現実的多軌道模型に基づくスピンホール効果の総合的研究を行った。まず我々は2次元Ru酸化物体であるSr2Ru04におけるスピンホール効果を解析し、Ptの実験値の数倍のスピンホール伝導度が実現することを示した。その起源は、軌道自由度とd軌道のLS結合に由来する巨大な「スピンに依存する有効Aharonov-Bohm位相」であることを世界で初めて明らかにした。2.遷移金属におけるスピンホール効果:我々は、遷移金属のバンド構造を忠実に再現する9多軌道模型(Naval-Research-Laboratory tight-binding模型)に基づき、全ての4d,5d遷移金属のスピンホール伝導度を網羅的に研究した。その結果、電子数nの増大に従い、スピンホール伝導度の符合が負から正へと滑らかに変化することを見出した。この結果は、その後の実験によって確認されつつある。さらに我々は、遷移金属一般で巨大な正の軌道ホール効果(d軌道のz成分のカレントが電場と垂直方向に流れる効果が出現することを理論的に示した。軌道ホール効果はスピンホール効果と比べて一桁大きいため、将来orbitronicsデバイスの実現が期待される。
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http://www.slab.phys.nagoya-u.ac.jp/kon/