代数多様体を理解しようとする時、分類するというのは有力な方法である。分類の指標としては、離散的な不変量と連続的なパラメータがある。連続パラメータの理論は、1960年代にD.Mumfordによって厳密なモジュライ空間の理論として確立された。それは、しばしば代数多様体の構造を持ち代数幾何学の重要な研究対象となっている。また、どのような部分空間が存在するかを調べることも理解するための有力な方法を与える。 有限個のi次元部分多様体の整係数の形式的な和をi次の代数的サイクルという。この研究の目的は、モジュライ空間と代数的サイクルという重要な2つの対象を調べることである。中心的な課題は、次のとおりである。 (1)代数多様体のモジュライ空間の研究、 (2)志村多様体、とくにアーベル多様体のモジュライ空間の研究、 (3)広義のCalabi-Yau多様体をファイバーとするファイバー空間の研究、 (4)代数的サイクルの構造の研究。
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