平成20年度は臨床試験用インプラントの最終デザインを確定した。腰椎後方椎体間固定手術を安全で低侵襲に行うための外形状、荷重部で破損しない力学的強度と骨新生を促進する内部微細構造および化学処理の条件を確定した。最終インプラントは純チタン製、疲労強度10000N以上、気孔率60%、気孔径300ミクロンでアルカリ加熱処理を施した。同時に手術の際にインプラントを腰椎に挿入するための器械の作製、滅菌および梱包方法のバリデーション、不純物検出試験や破壊試験などでの安全性評価を行った。臨床試験プロトコールは厚生労働省の認可を受けて行う企業治験のプロトコールに準じた内容で作成した。5月14日に京都大学探索医療センターの協力を受け「生体活性チタン多孔体の腰椎固定術における椎間固定用の人工骨としての有効性、安全性についての臨床試験」プロトコールが完成し、京都大学倫理委員会に提出し、9月19日に承認を受けた。同時に独立データモニタリング委員会や効果判定評価委員会などの設置、インプラント管理などの研究体制の整備を行った。登録センターを設置し、10月から患者リクルートを開始し、11月に第1例に手術を行い、現在までに合計3例の手術を終了している。今後は3例の術後の追跡調査とデータ管理を行い、目標である5例の臨床試験を本年度中に終了し、臨床成績および有害事象を評価するとともにインプラントの製品化と医用材料としての認可を得るための研究体制の整備と市場調査、製品化に向けてのデザイン変更などを行う予定である。
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