研究課題/領域番号 |
19202001
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
加藤 泰史 南山大学, 外国語学部, 教授 (90183780)
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研究分担者 |
松田 純 静岡大学, 人文学部, 教授 (30125679)
松井 佳子 神田外語大学, 外国語学部, 教授 (60255180)
別所 良美 名古屋市立大学, 人文社会系研究科, 教授 (10219149)
青山 治城 神田外語大学, 外国語学部, 教授 (40192869)
入江 幸男 大阪大学, 文学研究科, 教授 (70160075)
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キーワード | 価値論 / 絶対的価値としての尊厳 / 身体論 / 生命の尊厳 / 文化的価値相対主義 / 人間の尊厳と人権 / 尊厳の毀損 / 生命への畏敬 |
研究概要 |
第四年度(平成22年度)も、「ドイツ応用倫理学研究会」を継続的に開催し、これまでの三年間と同様に、「研究の目的」である「ドイツ応用倫理学の総合的研究」を遂行し、今年度は特に最終年度でもあるので、過去三年間に取り上げなかったテーマである「グローバル・エシックス」を問題にすると同時に、平成22年9月と平成23年3月に南山大学とデュッセルドルフ大学で研究の総括的な国際シンポジウムも開催した。今年度は平成22年9月に「グローバル・エシックス」に関する国際ワークショップと「尊厳と価値」に関する国際シンポジウムを、研究分担者および研究協力者の発表を含め、ドイツ人研究者を招聘して開催した。「グローバル・エシックス」のワークショップでは、「人間の尊厳」と「人権」概念との関係が様々な観点から検討され、前者を後者に還元するのではなく、前者によって後者を基礎づけることの重要性を再認識することができたと同時に、「現場」の外交官であるドイツ公使のプリンツ博士からは「尊厳」の毀損に関係した現状報告もあり、きわめて有意義な情報を得ることができた。「尊厳と価値」をめぐるシンポジウムはこれまでの研究を総括するための試みであるが、それ以上に「人間の尊厳」の問題を価値論的観点から考察するという日本ではほとんど行われていない論点を導入する試みでもある。このシンポジウムではもう一つの重要な論点として、身体および生命の観点から「尊厳」の問題を論じるという新しいアプローチを確認することができた(その成果は、G.シェーンリッヒ・加藤泰史編『価値としての尊厳』と題してドイツのmentis Verlagから出版予定である)。平成22年12月にはトマス・ポッゲの研究発表会を企画し、「貧困」の観点から「人権」と「尊厳」の問題について議論することができて有益であった。最後に平成23年3月にデュッセルドルフ大学で生命倫理学に関する国際ワークショップを開催して「人間の尊厳」に関して新たな論点を探るとともに、今後の日独共同研究の新たな方途を協議して共同研究の推進を確認することができた。第三年度および第四年度の一部のシンポジウムおよびワークショップの記録や研究課題に関する論文・翻訳、さらに収集した最新の文献の批判的分析などを掲載した『ドイツ応用倫理学研究』第2号および最終報告書を刊行した。
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