本研究の目的は、冷戦体制におけるヨーロッパ国際秩序の再編問題を視野に入れつつ、戦後アジア国際秩序の再編に目を向け、アジアにおける帝国の終焉(脱植民地化)とアメリカによるヘゲモニー支配、アジアの地域連合という新体制への移行過程の特質を明らかにするために、国際的な経済援助が国民国家としてのアジア諸国の自立化をどのように導き、新たな国際体制にどのように編入したのか、その関連性を究明することにある。具体的には、イギリスの影響力温存、アメリカのヘゲモニー的支配の進行、アジアの地域的連合の形成の相互連関を意識しながら、国際的なアジア経済援助計画であるコロンボ・プランとスターリング・バランスの処理、国連・世界銀行及びアメリカの経済支援に着目して、その計画を策定するに至った背景、アジア諸国における開発プランの具体的内容、そしてプランの執行とその実際の効果を中心に総合的に検討することをめざしている。 平成20年度は、研究課題の目標を確認しつつ、各連携研究者はそれぞれ国内外の一次史料の調査・収集を行いつつ、9月に東北学院大学で海外の研究者6人を招聘し、また12月には台湾の国史館において台湾研究者9人とも、2回にわたって国際ワークショップを開催し、ヨーロッパ側とアジア側の研究視点や研究水準を確認した。その成果を2つの冊子にまとめることができた。他に数回ほど研究会を開催し、各分担者の研究の進捗状況を確認しつつ、2009年8月にオランダで開かれる国際経済史学会での発表を認められたことで、それに向けて準備に入っている。
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