本研究は、冷戦体制におけるヨーロッパ国際秩序の再編問題を視野に入れつつ、戦後アジア国際秩序の再編に目を向け、アジアにおける帝国の終焉(脱植民地化)とアメリカによるヘゲモニー支配、アジアの地域連合という新体制への移行過程の特質を明らかにするために、国際的な経済援助計画=コロンボ・プランが国民国家としてのアジア諸国の自立化をどのように導き、新たな体制にどのように編入したのか、その関連性を究明することを目的としている。 当該年度は、3年目に当たり、コロンボ・プランの計画の策定、実施過程、および結果に関する共同研究の成果について、国際的視点からさらなる多角的な視点や問題点を再検討してきた。特に1960年度前半まで視野にいれ、コロンボ・プランの定着過程とそれをめぐる各国の利害錯綜関係の分析に集中し、8月にユトレヒトで開催された第15回国際経済史学会において、海外研究協力者とともにパネルデスカッションを行い、さらに12月にはネルー大学のインド近現代史研究者との合同の國際ワークショップをネルー大学で開催し、アジア側(特にインド)の対応の検討を行った。この二つの海外での研究成果の発表とそれに対するコメントならびに討論によって、研究成果に対する客観的評価と更なる検討課題を確認できたことは、大きな意義があった。 以上の成果をより精査して、2010年度には社会経済史学会と日本国際政治学会においても報告を行い、それを踏まえて英文叢書ならびに邦文書の公刊に向けて、準備を進めている。
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