研究概要 |
本研究は、不安定核ビーム(RIビーム)の中間エネルギー直接反応を用いて、3および4中性子系、超重水素同位体6,7Hおよび中性子ドリップラインを超えた軽い原子核を生成し、そこに発現する中性子相関を調べることにより、中性子多体系のダイナミックスを解明することを目的とする。具体的には、核子あたり100-200MeVの二重荷電交換反応およびαノックアウト反応の測定を行う。本年度は、加速器を用いた実験の準備として以下の研究を行った。 (1)SHARAQスペクトロメータの焦点面で用いる荷電粒子測定装置の開発 本研究の二次核反応測定では、1つあるいは2つのα粒子を、高分解能磁気分析装置SHARAQで測定する。そのための荷電粒子飛跡検出器2台を製作しその基本性能評価を完了した。、一粒子に対するSHARAQの検出効率に基づいて8Be→2α過程からの2つのα粒子の軌道解析および検出効率の導出を行い、2α検出のためのSHARAQの設定条件および検出器の改良点を明らかにした。 (2)ビームライン検出器の開発 実験で用いる8Heビームの飛跡を高精度で測定するための検出器を製作し、核子あたり250-350MeVのt,3He,6He,6Li等の粒子に対する基本性能評価実験を実施し、いずれの粒子に対しても検出効率90%以上、位置分解能250ミクロン以下(半値全幅)を達成した。これらは本研究のために十分な性能である。 (3)反跳粒子検出器の開発 二次核反応で反跳される、水素同位体および中性子をコンパクトに検出するための装置の仕様を検討し、ファイバー状のシンチレータの読み出しのための多アノード型光電子増倍管を導入した。 (4)二重荷電交換反応のモデル計算 二重荷電交換反応に関するモデル計算のための計算コードを整備し、遷移密度の計算を始めた。
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