研究課題
ゼブラフィッシュを用いた嗅神経細胞特異的分子操作法を開発し神経終末可視化法と組み合わせることにより、軸索終末へのシナプス小胞の集積と軸索終末分化に伴う形態変化(リモデリング)は異なるカルシウムシグナルにより制御されていることを明らかにした。また、精神遅滞の原因遺伝子である Interleukin 1 receptor accessory protein like 1(IL1RAOL1)のゼブラフィッシュ相同遺伝子IL1RAPL1bを単離し、モルフォリーノアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いてIL1RAPL1bの翻訳を抑制するとシナプス小胞の集積と軸索終末の形態変化が共に阻害されることを見いだした。さらに、TIRドメインからのシグナル伝達を阻害する点変異を導入したIL1RAPL1b(IL1RAPL1-P455H)を発現させると軸索終末の形態変化は阻害されたが、シナプス小胞の集積は阻害されなかった。野生型IL1RAPL1bの発現はシナプス小胞の集積を顕著に増加させたが、IL1RAPL1-P455H変異を導入してもシナプス小胞の集積の増加は影響されなかった。一方ドメイン構造のよく似たInterleukin 1 receptor accessory protein(lL1RAcP)とC末端ドメインをスワップした変異体はIL1RAPL1bによるシナプス小胞の集積を増加させる効果を消失した。これらのことから、lL1RAPL1はTIRドメインを介して軸索終末の形態変化を、一方C末端ドメインを介してシナプス小胞の集積を調節することが示唆された。さらに、IL1RAPL1と結合する蛋白質を単離し、質量分析系を用いて解析することにより10数個の結合分子を同定した。機能解析を進めており、プロテオミクス解析とゼブラフィッシュ機能解析の組み合わせが有効であることが示され、プロテオゲノミックスへの道を開くことができた。
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Neuroscience (in press)(印刷中(掲載確定))
Mol. Cell. Neurosci. 39
ページ: 218-228
Biochem. Biophys. Res. Commun 377
ページ: 1315-1319