研究課題/領域番号 |
19320036
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大谷 雅夫 京都大学, 文学研究科, 教授 (80152172)
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研究分担者 |
川合 康三 京都大学, 文学研究科, 教授 (40108965)
宇佐美 文理 京都大学, 文学研究科, 准教授 (70232808)
大槻 信 京都大学, 文学研究科, 准教授 (60291994)
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キーワード | 和漢聯句 / 連歌 / 俳譜 / 中世文学 / 聯句 |
研究概要 |
平成21年度は、21年4月より22年3月まで、新たに「応永二十五年十一月二十五日和漢百韻」の会読を行った。これは特に著名人のつらなる聯句ではないが、それだけに、当時の標準的な知識人の手による標準的なできばえの作品と目すべきものであり、和漢聯句の揺藍期における標準的な表現のあり方を考える上で重要な位置を占める。もちろん今日まで注釈がなされてこなかったものであり、その読解には日本文学中国文学双方の知識が必要とされるため困難を極めるが、和漢聯句を専門とする和光大学の深沢眞二教授や中国の聯句を専門とする大阪市立大学の齋藤茂教授など、外部からも多くの研究者に参加していただいて活発な議論を重ね、21年度中に全体の八割程度の注釈を、高い精度で完成することができた。22年度も引き続き解読を継続し、その成果を年度内に刊行したいと計画している。 また、和漢聯句の会読と平行して、各図書館に散在している和漢聯句を収集し翻刻する作業も進めていった。資料面での研究基盤整備を意図したものであり、平成20年3月に臨川書店より出版された『室町前期和漢聯句作品集成』に引き続き、21年3月に『室町後期和漢聯句作品集成』を刊行した。同書は和漢聯句の隆盛が頂点を極める天文~文禄年間の作品を網羅的に翻刻・集成した資料集であり、収録された作品の過半は未翻刻、未紹介である。その資料的価値はきわめて高く、今後の研究に資すること小ならざるものがあると考える。
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